単価と回転率は別々のものではなく、むしろセットにして考えるべきものなのだ。
そして、回転率がある程度高くなれば、お客の数はさほどプレなくなり、安定してくる。
すると、将来の利益などを計算することもでき、事業計画や経営戦略を立てることができるようになる。
ただ、値段が安いという理由だけで集まってきているお客には、重大な問題点もある。
それは、他にもっと安い店があれば、簡単にそちらに移ってしまうということだ。
価格の値下げは、別に頭を使わなくてもだれでも表面的には真似ができるので、似たような安い店はいくらでも出てくる。
そういう状況になれば、お客は非常に流動的になる。
また、「安いだけで美味しくないので、あきてしまった」という理由で、お客が離れていく場合もあるだろう。
ハンバーガーチェーン店の値下げ競争が急に止まり、今度は逆に、素材やものめずらしさを追求した高価格競争になっていったのにはそういう背景がある。
つまり、低価格ということだけではリピーター(固定客)は生まれにくい。
いくら回転率が高くなったとしても、リピーターを作ることができなければいずれ回転率は落ちていく。
では、どうすればリピーターを生み出すことができるのだろうか?それはスポーツ界が参考になる。
サッカーの1リーグや野球のメジャーリーグなどは、球場でのイベントやプレゼントといったファンサービスを怠らない。
どちらも地域密着型であり、地元意識を最大限に刺激して、ファンとチームとの一体感を作り上げ、何度も球場に足を運んでもらうための試行錯誤をつづけている。
だから、いつも客席はリピーターのファンで埋め尽くされている。
一方、再編が加速している日本のプロ野球界は、どちらかというと、リピーターを生み出す努力を怠ってきた。
だから、新球団の「東北楽天ゴールデンイーグルス」は、所属選手の学校訪問や野球教室開催など、ファンサービスを球団経営の柱にすることをうたい、他球団との差別化を図っている。
選手の査定に「ファンサービス」の項目を作るほどの徹底ぶりだ。
では、他の業界ではどうなのだろうか?タバコを吸う人は、同じ銘柄のタバコを定期的に必ず購入する。
これも、まさしくリピーターである。
日替わりや気分で銘柄を変える人など極めて少数だろう。
たいていの人は、同じ銘柄を一年中吸いつづける。
だから、タバコメーカーは銘柄のブランドカを高めて、固定客をつかもうと躍起になっている。
もちろん、味や値段も重要だが、タバコに関してはことさらブランドイメージが大きな購入動機になるのだ。
マルポロ、ショートホープ、セブンスターと聞けば、なにかしらのイメージが湧いてこないだろうか。
愛煙家はみなそれぞれの銘柄になんらかのこだわりを持っているものだ。
また、ディズニーランドがテーマパーク業界でひとり勝ちなのも、リピーターが極めて多いからだ。
とても1日ではまわり切れないアトラクションや訪れるたびに変わるイベントの数々など、お客さんを何度でも楽しませる工夫や努力がその勝利の秘訣1だ。
さらに、家電量販店などではポイントカードの使用が定着したが、これもリピーター「あの店より1円でも安く」といった値引き合戦では、客数は頭打ちになってしまったために、苦肉の策として登場したのがこのポイントカードである。
いまでは、何店もまわって値段を比較検討するようなことをせずに、「家電を買うならここ」と、最初からお店を決めてしまっている人も多い。
それは、もっとポイントを貯めたい、貯まっているポイントを有効に使いたい、という心理がまっさきに働くからだ。
これまで見てきたように、焼烈な低価格競争をしたり、リピーターを作る努力をしたりと、どの業種でも回転率を高めるために必死である。
回転率は、まさに商売の要なのである。
人脈は回転率で考えるさて、商売だけではなく、人づきあいも同じような考えでとらえることができる。
「人脈」というと、なるべく多くの業種の幅広い世代の人々と関係を持つことに重点が置かれがちだが、それは大きな勘違いだと思う。
よく異業種交流会といった人脈作りの会合が開かれているが、そんなところで名刺を嫌になるくらい配ったとしても、それが本当の人脈になることなど極めて稀であろう。
たしかに顔は広くなるかもしれないが、それは人脈とは別物である。
どんなに多くの「知り合い」を作っても、いざというときにものを頼むことができなかったり、こちらがまるで信頼されていなかったりしたならば、それはまるで意味のない「顔の広さ」である。
乱暴にいえば、街でばったりキムタクを見かけて、そのことだけで、「俺はキムタクと知り合いだ」といっているのと同レベルである。
私が思うに、名刺の数と人脈の広さはまるで比例しない。
本当の人脈とは、相手の背後に存在する未知の人物まで取り込むものである。
どういうことかというと、100人と薄っぺらい関係を築くのではなく、100人の人脈を持つひとりの人物と深くしっかりとした関係を築くべきなのだ。
そうすれば、その背後に存在する100人の人たちも、自分の人脈として生かすことができるようになるはずである。
だから、異業種交流会などに参加する暇があったら、むかしからよく知っている友人知人や最近新たに知り合いになった人物など、すでに知っている人物と何度も何度も関係を重ねていくべきであろう。
少数の信頼できる人と時間をかけて友好関係を築いていけば、それが後々の人脈になっていき、いざというときに必ず自分の身を助けてくれるはずだ。
私がいうまでもなく、みなさんにもそうした経験がおありではないだろうか?これは、客の数と売り上げが必ずしも比例しないのと同じである。
モノを買ってくれないお客をいくら集めたところで、売り上げはまったく変わらない。
むしろ、少数でもいいから何度も何度も自分のお店で買ってくれる固定客を集めてこそ、売り上げも安定するし、さらに口コミなどで新しいお客も呼んできてくれるというわけだ。
頭を使わない不正の見つけ方さて、会計の世界において回転率が実際どのように使われているのか、興味はないだろうか?回転率は非常に使える道具である。
というのも、なにも頭を使わずに利用できるうえ、たいした労力も必要としないからだ。
監査をするために会社にお邪魔すると、まず決算書や帳簿といったさまざまな会計資料をお借りする。
「公認会計士なら、きっとそれらの資料を手際よくチェックしていくんだろうなぁ」と思われるかもしれない。
ところが、小さい会社ならいざ知らず、それなりの会社になると会計資料の量も膨大だ。
実際は、どこから手をつけていいのかわからず戸惑うことも多い、というのが正直なところなのだ。
そういうときにどうするかというと、まず毎月の数字をパソコンに打ち込んでみる。
しかし、さすがに数字を並べただけでは監査は進まないので、次に回転率を計算してみる。
計算といっても、要は割ってみれば回転率になるので、非常に簡単である。
たとえば、売掛金なら月間の売り上げで割ってみる。

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